2026/05/26

渋沢栄一「論語と算盤」に学ぶ介護経営のリーダーシップ|道徳と利益を両立させる組織づくりとは

「利用者を守りたい」という想いと「事業を安定させなければ」というプレッシャー——介護・福祉の経営者・管理者なら、この二つの間で揺れたことが一度はあるのではないでしょうか。「道徳か、利益か」という問いに、今から100年以上前に真正面から向き合い、一つの答えを示した人物がいます。日本の近代経済の父・渋沢栄一です。今回は、渋沢の代表的著作『論語と算盤』(1916年刊)の思想を介護経営に引き寄せてご紹介します。

「道徳と経済は両立する」——渋沢栄一が生涯かけて伝えたこと

渋沢栄一(1840〜1931)は、幕末から明治・大正にかけて約500社の企業設立に携わり、養育院(現・東京都健康長寿医療センター)など600余の社会公共事業を支えた実業家です。彼の思想の核心は「道徳経済合一説」——道徳(仁義・誠実さ)と経済(利益・事業継続)は、対立するのではなく本来ひとつのものだという考えです。

著書の中で渋沢はこう述べています。

「仁義道徳と生産殖利(利益を生み出すこと)とは、本来ともに進むべきものであって、決して矛盾するものではない」

(渋沢栄一『論語と算盤』1916年)

介護事業には「人を支える」という崇高な使命があります。しかしその使命は、事業が継続できて初めて果たせます。「使命か利益か」ではなく、「使命を果たすために利益も追う」と腹をくくったとき、経営者のリーダーシップは一段と深まります。

押さえておきたいポイント

  • 渋沢の「道徳経済合一」は、ミッションと経営数字の両立を正当化する根拠になります
  • 「儲け主義の介護」でも「理念だけで赤字を続ける介護」でもなく、その両方を追うことが組織の信頼を育てます
  • 利用者・家族・スタッフ・地域に対して「公益」を意識することが、長期的な事業存続につながります

「誠実さこそ最大の資本」——スタッフ・利用者との信頼をつくる

渋沢は「信用」を何よりも大切にしました。「商売は信用が命だ。信用のない者は、いくら才覚があっても社会では通用しない」と繰り返し説いています(出典:渋沢栄一『論語と算盤』1916年)。

介護の現場では、スタッフとの信頼関係が職場の安定に直結します。「この管理者は本音で語っている」と感じられる職場と、「どうせ言っても変わらない」と諦められている職場では、スタッフの定着率も日常の働きぶりも大きく異なります。渋沢の言う「誠実さ」を経営者・管理者が実践するとは、具体的には次のような姿勢です。

  • 厳しい経営状況も正直に共有する
  • スタッフの意見を「最初から答えが決まった状態」で聞かない
  • 「言ったことは必ず動く」を日々積み重ねる

信用は一度失うと、取り戻すのに何倍もの時間がかかります。渋沢の「誠実さ」は、時代を超えてリーダーの基本姿勢を教えています。

押さえておきたいポイント

  • リーダーの「誠実さ」は言葉ではなく日々の行動で示すものです
  • スタッフは経営者の「本音」を日常の細かな言動から読み取っています
  • 「信用残高を積む」習慣が、危機のときに組織を支える土台になります

「自分を高め続けることがリーダーの責務」——渋沢の学びへの姿勢

渋沢は生涯にわたって『論語』を拠りどころとし、90歳を超えても学び続けた人物です。「一日学ばざれば一日退くと思え」という精神を実践し続けました。

渋沢はこう述べています。

「成功や失敗の勝ち負けよりも、いかなる仕事に対しても一所懸命努力したということが大切なのだ」

(渋沢栄一『論語と算盤』1916年)

介護現場では「忙しくて自分の学びどころではない」という声をよく聞きます。しかし、経営者・管理者が学ぶことをやめると、組織全体の感度が鈍くなります。渋沢の姿勢が示すのは、トップが率先して学び続ける姿そのものが、チームへのメッセージになるということです。「うちのリーダーはいつも何かを学んでいる」——そう感じるスタッフは、自身の成長にも前向きになりやすいものです。

押さえておきたいポイント

  • 経営者・管理者が学ぶ姿勢を見せることで、職場全体に「学ぶ文化」が広がります
  • 結果だけを求めるより、「努力のプロセスを大切にする」姿勢の方がスタッフに伝わりやすいです
  • 「忙しいから後回し」が続くと、思考の柔軟性が失われ、環境の変化に対応できなくなるリスクがあります

まとめ

渋沢栄一が100年以上前に問い続けた「道徳と経済の両立」は、今の介護経営に重なる問いです。「使命を守る」と「事業を続ける」は、どちらかを選ぶものではなく、両方を同時に追うことで組織に力が宿ります。誠実に語り、信用を積み上げ、自分自身が学び続ける——渋沢の残したこの三つの姿勢は、介護・福祉の現場でリーダーを務めるすべての方に通じる普遍の道だと思います。今日の現場での一言、一つの約束の積み重ねが、やがてスタッフが誇れる組織の土台になっていきます。


📚 介護・障がい福祉事業所向けeラーニング「福ひろばラーニング」

スマホで7分、メール・LINEで届いてその場で完了✨

全120コース・15パッケージ(介護保険7種+障がい福祉5種+管理者研修+ICT・AI活用2種+BCP机上訓練付き) 1人200円/月(税別)

✅ 法定研修の受講記録を自動管理

✅ 監査対応もバッチリ(修了証PDF・CSV出力)

✅ 新人研修も自動配信

👉 デモ体験はこちら(無料)https://learning.hana-hiro.com/demo


📬 介護経営者・管理者向け 毎日配信メルマガ「はなひろDXレター」

介護DX・AI活用・経営のヒントを毎日お届け(無料・いつでも解除可)

👉 メルマガ無料登録はこちら

https://www.event-manager.app/subscribe?t=caredesignworks


📱 公式LINE「福ひろば2.0」

介護事業所向けの実務情報・スタッフ募集・セミナー案内をLINEでお届けします

👉 友だち追加はこちら https://lin.ee/TSfZXzs