「うちでも見守りセンサーを入れたいけれど、補助金の申請が複雑そうで…」。そう感じている介護事業所の経営者・管理者の方は少なくないのではないでしょうか。令和8年度(2026年度)の介護テクノロジー導入支援事業では補助率が最大3/4へと引き上げられ、見守り機器の導入にとって大きな追い風となっています。今回は最新情報を整理して、申請のポイントをわかりやすく解説します。
令和8年度 介護テクノロジー導入支援事業とは
厚生労働省が令和8年4月7日に実施要綱を都道府県に発出した「介護テクノロジー導入支援事業」は、介護事業所が見守り機器・介護記録ソフト・インカムなどのICT機器を導入する際に費用の一部を補助する制度です。
今年度の大きな変化は、補助率の引き上げです。通常の補助率は1/2ですが、複数の機器をセットで導入する「パッケージ型導入」では最大3/4に引き上げられます。補助上限額は都道府県によって400万円〜1,000万円の範囲で設定されており、特に見守り機器・介護記録ソフト・インカムの3種類は業務時間削減効果が確認されているとして「重点支援対象」に位置づけられています。
6月8日時点では山形県・栃木県が申請受付を開始し、鹿児島県も申請開始予定を公表しています。各都道府県が順次受付を始めていますので、自事業所が所在する都道府県の最新情報を早めに確認することをおすすめします。
押さえておきたいポイント
- 見守り機器・介護記録ソフト・インカムが重点支援対象の3種
- パッケージ型導入(複数機器の組み合わせ)で補助率最大3/4
- 補助率3/4を受けるには「デジタル中核人材養成研修」の受講が共通必須要件
- 施設系では見守り委員会の設置が求められる
- 在宅系はケアプランデータ連携システムの活用が補助率3/4の要件
- 出典:【6月8日更新】2026年度(令和8年度)介護テクノロジー関連補助事業 都道府県の実施状況
AI搭載の見守りシステムで何が変わるのか
「見守りセンサー」と聞いても具体的なイメージが湧きにくい方のために、最近の見守りシステムの機能を整理します。
近年の見守り機器はAIと連携し、単なる「センサーで検知する」段階をはるかに超えています。ベッドに設置した荷重センサーで利用者の呼吸・体動をリアルタイムに把握し、離床のタイミングを事前に予測することで夜間の転倒リスクを大きく下げることができます。カメラ映像をAIがリアルタイムで解析し、転倒につながる危険な動作を瞬時に検知するシステム(例:グローリーの転倒検知システム「mirAI-EYE」)も実用化されています。
これらは夜勤スタッフの精神的な負担軽減にも直結します。「すべての部屋を定期的に見て回らなければ」というプレッシャーを軽減し、センサーが通知した時に素早く対応できる体制をつくることができます。インカムとあわせて導入することで、ナースコール対応の効率もさらに向上します。
押さえておきたいポイント
- ベッドセンサー・人感センサー・AI転倒検知カメラなど種類が多様化している
- 夜間の離床・転倒リスクの早期察知が見守りシステムの中心的な役割
- 夜勤スタッフの「全室を見回らなければ」という精神的負担を軽減できる
- インカムと組み合わせることで職員間の連携がスムーズになる
- 出典:介護ロボット・AIの最新動向2026|在宅介護での活用と課題
実際の導入効果:職員定着と事故防止の両立
東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「砧ホーム」では、見守りセンサー・人感センサー・インカムなどのICT機器を組み合わせて導入しました。その結果、2020年からの3年間で常勤介護職員の離職率0%を達成し、転倒事故の減少も確認されています。
「テクノロジーを入れれば人の仕事がなくなる」というイメージを持つ方もいますが、導入現場からの声は異なります。「夜間の見回り回数が減った分、日中のケアの質が上がった」「スタッフ同士の声かけが増えた」という変化が多く報告されています。
ICT機器の導入は「業務を効率化するだけのもの」ではなく、「質の高いケアに集中できる環境をつくるもの」として位置づけることが、スタッフの納得感を得るうえでも重要です。補助金を活用する前に「自事業所のどの課題を解決したいか」を整理しておくことが、成功への大切な第一歩です。
押さえておきたいポイント
- 見守りセンサーとインカムの組み合わせが職員定着に効果的という報告がある
- 導入の目的を「効率化」だけでなく「ケア品質の向上」として設定することが大切
- スタッフへの丁寧な説明と「デジタル中核人材」の育成が活用の鍵となる
- まず都道府県の窓口・ICT専門アドバイザー等に相談するところから始めるとよい
- 出典:【2026年最新】介護のICT補助金(介護テクノロジー導入支援事業)都道府県別の実施状況・補助率・対象機器まとめ
まとめ
令和8年度の介護テクノロジー導入支援事業は、補助率の引き上げとともにデジタル人材の育成も一体的に求める制度設計となっています。見守りセンサーの導入は夜間ケアの安全性を高め、スタッフの定着にもつながる取り組みです。各都道府県の申請受付が順次始まっていますので、まずは自事業所が所在する都道府県の窓口に問い合わせるところから始めてみてください。補助金はあくまで導入の入り口ですが、今年度はその入り口が大きく広がっています。
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