2026/07/10

介護DX事例3選|AI搭載アプリ全国83拠点導入・生成AIケアプラン・介護ロボットで離職率ゼロを実現【介護事業所の経営者・管理者向け】

「うちの現場でもAIやロボットって、本当に効果があるのだろうか」——導入を検討しながらも、そう感じている介護事業所の経営者・管理者の方は多いのではないでしょうか。今回は、AI搭載アプリの全国拠点への本格導入、生成AIによるケアプラン作成支援、介護ロボットによる離職率改善という、いずれも具体的な数字が出ている3つの介護DX事例をご紹介します。

ケアパートナー、AI搭載アプリを全国83拠点の通所介護施設へ本格導入

大東建託グループの100%子会社であるケアパートナーは、2026年7月より独自開発のAI搭載アプリを全国83拠点の通所介護施設へ順次本格導入しています。アプリには「AIデジタルアルバム」「デジタル請求書」「デジタル報告書」の3機能が搭載されており、AIデジタルアルバムはAIの顔認識技術を使って撮影した写真を利用者ごとのフォルダへ自動振り分けする仕組みです。施設での活動やレクリエーションの様子を、ご家族やケアマネジャーへ共有しやすくなる点も特徴といえます。介護の現場では、事務作業に追われて利用者対応の時間が圧迫されるという課題が長年指摘されてきましたが、同社はこのアプリの導入によって年間約3万時間の業務削減を見込んでいるとのことです。写真整理や請求・報告といった「地味だが積み重なると重い」業務を仕組みで肩代わりする発想は、規模の大小を問わず参考になりそうです。

押さえておきたいポイント

  • AI搭載アプリを全国83拠点の通所介護施設へ本格導入(2026年7月〜)
  • AIデジタルアルバム・デジタル請求書・デジタル報告書の3機能を搭載
  • 年間約3万時間の業務削減を見込む

出典: 大東建託株式会社プレスリリース

生成AIでケアプラン作成時間を大幅短縮、CareFranが高知県香美市で実証事業

株式会社CareFranは、高知県香美市と連携し、生成AIを活用したケアプラン作成支援の実証事業を行いました。CareFranのAIケアプラン作成支援担当者がケアマネジャーと利用者のやり取りに同席して会話を録音し、そのデータを生成AIが即時に解析してケアプランの下書きを出力する仕組みです。実証では13時30分に1人目のアセスメントを開始し、16時30分には2人目のアセスメントまで終了、その時点で「利用者基本情報シート」「アセスメントシート」「予防プラン」の下書きが2人分完成したといいます。一般的にケアプラン作成には新規利用者で約4時間30分、継続利用者でも約2時間30分かかるとされていますが、今回の実証では従来なら翌日以降に半日以上かかっていた作業がその日のうちに完了しました。厚生労働省も「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」(令和7年4月10日)で、ケアプランや会議議事録の原案作成への生成AI活用を業務効率化の方向性として明記しており、今後同様の取り組みが広がる可能性があります。

押さえておきたいポイント

  • 生成AIがケアマネジャーと利用者の会話データを解析し、ケアプラン下書きを即時出力
  • 実証事業では2人分のアセスメント〜下書き完成が同日中に完了
  • 厚労省も中間とりまとめでケアプラン原案作成への生成AI活用を明記

出典: CareFran公式ニュース

介護ロボット導入から3年、きぬた園が常勤職員の離職率ゼロを達成

経済産業省のMETI Journal ONLINEで紹介された「きぬた園」の事例では、2020年に介護ロボットを導入してから3年間、常勤の介護職員の離職率がゼロになったことが報告されています。移乗支援などの介護ロボットを取り入れたことで身体的な負担が大きい業務が軽減され、職員がより専門性の高いケアに時間を割けるようになったほか、研修や休暇を取る余裕も生まれたといいます。腰痛や体力的な不安を理由に介護職を離れる職員は少なくなく、身体的負担の軽減は採用・定着の両面で効果が大きいテーマです。ロボット導入というと初期費用の大きさに目が向きがちですが、離職防止による採用コストや教育コストの抑制まで含めて考えると、投資対効果は見えやすくなります。

押さえておきたいポイント

  • 2020年の介護ロボット導入から3年間、常勤介護職員の離職率がゼロに
  • 身体的負担の軽減が、専門性向上や研修・休暇取得の余裕にもつながった
  • 離職防止による採用・教育コストの抑制まで含めて費用対効果を考えることが重要

出典: 経済産業省 METI Journal ONLINE

まとめ

AI搭載アプリの本格導入、生成AIによるケアプラン作成支援、介護ロボットによる離職率改善と、アプローチはそれぞれ異なりますが、「事務作業や身体的負担を減らし、利用者と向き合う時間を増やす」という方向性は共通しています。すべてを一度に取り入れる必要はありません。まずは自法人の現場で最も負担になっている業務を洗い出し、今回ご紹介したような事例を参考にしながら、無理のない範囲で一歩ずつ取り組んでいただければと思います。


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この記事の監修
監修者 塙啓之

塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県須賀川市・郡山市・矢祭町でデイサービスなどの介護事業所を運営しています。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。

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