今日も記録作業に追われて、気づけば残業――そんな一日を過ごしていませんか。介護記録の負担を軽くするAI技術は、この夏も新しい形で現場に届き始めています。今回は「予兆を捉える」「記録の信頼性を高める」「入力の手間を減らす」という3つの切り口から、2026年7月に押さえておきたい介護AI記録の動向をご紹介します。
BPSDの兆候をAIが検知「マジ神AI」、学会でも効果を発表
ベネッセスタイルケアが開発を進める「マジ神AI」は、体温・睡眠時間・排便回数など約50項目にのぼる介護記録・センサーデータを組み合わせて分析し、認知症にともなう行動・心理症状(BPSD)の発生要因の候補やケア方法を職員に助言するシステムです。経験の浅い職員でも、専門性の高い介護職に近い判断ができるよう支援する「業務支援・人財育成」の仕組みとして開発・検証が進められており、その活用効果は人工知能学会全国大会や日本認知症ケア学会大会でも発表されています。記録データを「書いて終わり」にせず、次のケアの質につなげる分析まで踏み込んでいる点が特徴です。
押さえておきたいポイント
- 体温・睡眠・排便など約50項目のデータを組み合わせて分析
- BPSD(行動・心理症状)の予兆を捉え、ケア方法の候補を提示
- 経験の浅い職員でも専門性の高い判断に近づける「人財育成」の側面も
出典: 「マジ神AI」の活用効果について、人工知能学会および日本認知症ケア学会で発表|株式会社ベネッセスタイルケア
記録の“改ざん不可能”を実現、AI×ブロックチェーンの次世代記録システム
2026年5月、AIとブロックチェーン技術を組み合わせた介護記録システムが世界初として発表されました。音声やセンサーのデータをAIが24時間体制でリアルタイムに記録し、そのデータをブロックチェーン上で管理することで、記録の改ざんを技術的に防ぐ仕組みです。外国人介護人材の増加に対応する多言語サポートも搭載されており、記録の透明性・信頼性を高めたい事業所や、監査対応を重視する事業所にとって、選択肢の一つになりそうです。
押さえておきたいポイント
- 音声・センサーデータをAIが24時間体制でリアルタイムに記録
- ブロックチェーン上で管理し、記録の改ざんを技術的に防止
- 外国人介護人材向けの多言語対応も搭載
出典: 世界初、AIとブロックチェーンで24時間介護記録を刷新―改ざん不可能な次世代システム|Innovatopia
音声で記録が完結する「ながらかいご」、6,200万円を調達し全国展開へ
豊田高専発のスタートアップ・NAGARAが手がける音声AI記録サービス「ながらかいご」は、スタッフがスマートフォンを持ちながら利用者と会話するだけで、AIがその内容をリアルタイムに記録・整理してくれるサービスです。専用端末は不要で、スマホひとつで完結します。同社はシードラウンドで6,200万円の資金調達を実施し、「スタートアップフェス2026」でも最優秀賞を受賞。設立からわずか2か月で全国41施設がトライアル導入しており、導入施設では年間約1万時間の記録業務、金額にして約1,000万円のコスト削減につながった例も報告されています。
押さえておきたいポイント
- 会話しながら話すだけでAIが記録・申し送りを自動整理、専用端末は不要
- シードラウンドで6,200万円を調達し、全国展開を加速
- 導入施設では年間約1万時間の記録業務・約1,000万円のコスト削減実績も
出典: 豊田高専発スタートアップの株式会社NAGARA、シードラウンドにて6200万円の資金調達を実施|株式会社NAGARA
介護・障がい福祉現場の研修事情と福ひろばラーニング
介護・障がい福祉の現場では、慢性的な人手不足のなか日々の業務に追われながらも、法定研修は義務として必ず開催しなければなりません。テーマ選びや資料づくり、スタッフの時間調整だけでも毎月かなりの時間がかかり、夜勤やパート、短時間勤務など働き方が多様なぶん、全員が一堂に会する機会をつくること自体が簡単ではありません。私たちはなひろも郡山・矢祭で介護事業所を運営しているので、悩みながら研修を開催している感覚はよくわかります。
こうした状況に対して、同じ悩みを持つ事業者の解決策の一つとして生まれたのが「福ひろばラーニング」です。スマホで7分ほどで読み終わるコースをLINEやメールで配信し、スキマ時間に受講できるので集合の手間がかかりません。ただし早さだけを追い求めているのではなく、介護現場の経験を踏まえて監修した、実務に直結する内容であることを大切にしています。各コースの末には小テストがあり理解度を確認でき、繰り返し受講も可能で、修了すれば修了証も発行されます。スタッフ自身が自分のペースで進められるうえ、未受講者への自動リマインドもあり、続けやすさにつながっています。(詳しくは記事末尾のご案内をご覧ください)
まとめ
今回ご紹介した3つの取り組みは、「予兆を捉える」「記録の信頼性を高める」「入力の手間を減らす」と、それぞれ異なる角度からアプローチしています。共通しているのは、記録業務を単なるスタッフの負担としてではなく、ケアの質を支える仕組みへと変えていこうとする姿勢です。すべてを一度に取り入れる必要はありません。まずは自事業所の課題に近いものから情報収集を続けていくことが、無理のないDX推進の第一歩になるのではないでしょうか。
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