2026/08/21

AIケアプランで要介護改善率3.4ポイント向上|愛媛県実証とSOMPOケア・ACGの最新DX事例【2026年8月・介護事業所の経営者・管理者向け】

「ケアプランの作成に時間がかかりすぎる」「AIって聞くけど、うちのような小さな事業所でも意味があるの?」——そんな声を、現場でよく耳にします。2026年8月も、介護のケアプラン作成や事務作業をAIが支える実践事例が各地から報告されています。今回は、実証データが公表されている3つの取り組みをご紹介します。

愛媛県の実証実験で要介護改善率が3.4ポイント向上|CDI「SOIN(そわん)」

株式会社シーディーアイ(CDI)が開発したAIケアプラン作成支援システム「SOIN(そわん)」は、愛媛県伊予市・西条市との実証事業で成果を上げています。両市から提供を受けた約45,000件の匿名加工データをAIに学習させて地域独自のモデルを構築し、利用者の状態に応じたケアプラン案の提案と、3カ月後の状態変化の予測を行う仕組みです。実証の結果、SOINを活用したグループでは要介護度の改善率が3.4ポイント向上し、参加したケアマネジャーの8割が「支援内容やサービス量が適切だった」と評価しました。CDIは近年、利用者の状態評価を支援する「アセスメント支援AI」機能も追加しており、根拠にもとづいたケアマネジメントを後押しする方向へ発展を続けています。あくまでAIが示すのは「原案」であり、最終的な判断と利用者・家族への説明はケアマネジャーの専門性に委ねられている点も、現場で受け入れられている理由のひとつといえそうです。

押さえておきたいポイント

  • AIケアプランの提案には、地域の実データを学習させた独自モデルが使われている
  • 実証グループで要介護改善率が3.4ポイント向上、8割のケアマネジャーが支援内容を評価
  • AIはあくまで「原案」を示す立場で、最終判断はケアマネジャーが担う

出典:AIケアプランSOIN(そわん)に「アセスメント支援AI」を追加|株式会社シーディーアイシーディーアイ「SOIN」1年後の状態予測やプラン提案|介護ニュース

FAXの仕分けもAIにおまかせ|ACGとケアchatが資本業務提携で生んだ「AI介護事務」

鹿児島県で高齢者住宅・デイサービス・訪問介護などを展開する株式会社ACG(あおぞらケアグループ)と、介護・福祉業界向けソフトウェアを手がける株式会社ケアchat(大阪市)は、2026年3月19日に資本業務提携を発表しました。提携後の第一弾として提供が始まった「AI介護事務」は、事業所に日々届くFAXを生成AIが読み取り、利用者名や書類の種別を自動で判読して、専用フォルダーへ仕分け・保存するサービスです。医療機関や薬局、家族などから届く紙の書類の整理は、現場の職員が手作業で行っていることが多く、地味ながら積み重なると大きな負担になる業務のひとつです。両社は初年度25社、3年後には150社への導入を目標に掲げており、書類整理という「見えにくい業務」の効率化に焦点を当てている点が特徴です。

押さえておきたいポイント

  • FAXで届く書類を生成AIが判読し、利用者名・書類種別ごとに自動仕分け
  • 2026年3月19日、ACG(鹿児島県)とケアchat(大阪市)が資本業務提携して開始
  • 初年度25社、3年後150社への導入を目標に展開中

出典:介護事業所の業務効率化ソフトウェアサービス『AI介護事務』サービスを開始|株式会社ACG プレスリリースAI領域で資本業務提携 あおぞらケアG/ケアchat|週刊高齢者住宅新聞

全1100事業所にAI議事録を導入|SOMPOケアが進める複合的なAI活用

大手介護事業者のSOMPOケアは、音声認識による議事録作成ツールを全国約1100の事業所に導入し、1事業所あたり月間約10時間の業務時間短縮を実現しています。あわせて、ケアプランの原案を自動作成するAIツールや、見守りに使うAIカメラの本格実証も進めており、AIカメラの導入では1施設あたり月間約7時間の業務圧縮が見込まれています。こうしたテクノロジー活用による生産性向上の経済効果は、2024年度単年で約15億円、2022年度からの累計では約40億円にのぼり、同社はこの効果を処遇改善の原資として職員に還元していると公表しています。1事業所単位の小さな効率化の積み重ねが、全社規模になると数十億円単位の効果と処遇改善につながっている点は、規模の大小を問わず参考になる考え方です。

押さえておきたいポイント

  • AI議事録を全1100事業所に導入し、1事業所あたり月約10時間を短縮
  • ケアプラン原案の自動作成AIやAIカメラの実証も並行して展開
  • 生産性向上の経済効果は年間約15億円、累計約40億円で処遇改善の原資に

出典:SOMPOケア、AI議事録を全1100事業所に導入 AIケアプランやAIカメラも本格実証|メディカルサポネット

まとめ

今回ご紹介した3つの事例に共通するのは、AIが現場の判断をすべて代行するのではなく、「原案づくり」や「仕分け作業」といった時間のかかる部分を引き受け、最終判断や利用者との向き合いは人が担うという役割分担です。愛媛県の実証では改善率という具体的な数値が示され、SOMPOケアでは効果が処遇改善という形で職員に還元されています。自事業所にすぐ同じ規模の投資は難しくても、「どの業務なら任せられそうか」を考えるヒントとして、これらの事例は参考になるはずです。


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この記事の監修
監修者 塙啓之

塙 啓之はなわ ひろゆき
株式会社はなひろ 代表取締役

介護業界で25年以上、現場・介護施設の管理者・ケアマネジャー(介護支援専門員)を経験。2013年に株式会社はなひろを設立し、福島県須賀川市・郡山市・矢祭町でデイサービスなどの介護事業所を運営しています。一般社団法人 全国介護事業者連盟 福島県支部 副支部長。

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