2019/06/25

利用者さんの一日、一日を大切にするために。

社会福祉法人 共生福祉会
特別養護老人ホーム 光の森の丘
介護主任 介護福祉士 本田綾さん

 

Q1 この仕事に就いたきっかけは

高校までは保育士になりたいと考えていました。高校のとき、担任の先生に卒業生が多く進学している介護福祉専門学校の見学を勧められて、行ってみたら先輩たちがすごく楽しそうに学んでいたんです。中学の時に老人介護施設の夏祭りを見に行って、高齢者福祉にも興味があったので、そこに進学を決めました。
私は親が共働きだったので、同居していたおじいちゃん、おばあちゃんに育てられたような感じで、隣近所のお年寄りとも日頃からおしゃべりしていたので、お年寄りは身近な存在でしたね。

 

Q2 仕事で心掛けている、大切にしていることは何ですか

入社してすぐ、特別養護老人ホームの立ち上げから関り、14年になります。
利用者の方がここで生活なさる上で、1日1日をどう過ごすのか、何をしたら楽しいのか、日々考えるようになりました。
入所して10年を超える利用者の方もいらっしゃいますから。顔を見れば「元気?」と話しかけているので、近所のおじいちゃん、おばあちゃんのような身近な存在です。
ここで人生の最期を迎えると実感している方もいらっしゃるので、どうすればここに来てよかったなと思っていただけるのかは、重要なテーマです。
本当は家に帰りたいけど、自分の身体のことをわかっているから帰れないという思いの方に、外出する機会を作ったり、お祭を開催して、ご家族と一緒に過ごしてもらう時間を持ってもらうように施設全体で心掛けていますね。

 

 

Q3 この仕事の魅力は何ですか

私は、このあたりの出身ではないのですが、利用者の方の地元の地名に詳しいんです。その地域の人のように思ってもらって、安心できる存在になるために、地図で地名を覚えました。地元のことを意識して話しをすると、利用者さんが喜んでくれて、自分の知らないことも学べる。そこから会話が膨らむのが楽しいですね。

利用者さんの変化に気づくことは大切なことですから、そのきっかけを推測しながら、ご本人やご家族からお話を聞くことで深く理解できることが多いですね。利用者さんに就寝介護の時や、夜中起きているときに個室でじっくりお話を聞けるのも、夜勤がある特養だからかもしれません。

ある利用者さんは、一時期気持ちが落ち込んでいて、運動機能や飲み込む機能が下がっていました。何か気持ちを上げられることがないかと思って、うかがったら、野菜作りが好きと話されたのです。はじめは、「野菜の苗を買いに行きましょう」と勧めても、「今年いっぱい生きていられるかわからない」とおっしゃっていたんです。ところが、収穫を目標に頑張りませんかと促して、野菜の世話をしてもらったところ、背筋も伸びてきて、イキイキと受け答えができるようになってきました。そういう変化を目の当たりにするとこの仕事をやっていてよかったなあと思います。

 

 

Q4 これまで辛かったこと 挫折しそうになったことはありますか

20代後半で介護主任になったばかりの時、うまく部下の指導ができず、利用者さんに接する時間が取れなくなってしまったときがありました。
でも、年上の職員の方が私の変化に気づいてくださって、話を聞いてもらったり、アドバイスをもらうことができたことで辛さを乗り越えることができました。
今は職員に恵まれ、皆さんが利用者さんのことを第一に考えて動いてくれて、意見もちゃんと言ってくれるので、良好な関係の中で仕事ができています。

この職場は、育児休暇後に復帰している人が多いんです。時間短縮や日勤だけで働けたりと子育てしながら働ける環境を整えてくれるので、ずっとこの職場で仕事を続けたいと思っています。給料も役職手当や夜勤手当はもちろん、賞与など、頑張ってきた人がたくさんもらえるように会社が考えてくれていると感じますね。

10年後も、現場にいながら、部下の指導に当たれるようになりたいと思っています。利用者さんと接することが私のエネルギー源なんです。

 

Q5 介護業界を目指す方へ

介護の仕事は人が好き、人と関わることが好きな人が向いていると思います。人が喜んだり楽しんだり、苦しんでいるのを一緒に共感できる、そういう方に介護士になってほしいですね。

介護では、人と関わる中で、喜びだけじゃなく悲しみもあります。大変なこともありますけど、利用者さんの笑顔に接したり、ご家族の方からここで過ごせてよかったよと言ってもらえる、やりがいを感じることができる仕事です。

少しでも興味があれば、毎年行われる夏のボランティアプログラム(毎年夏季に社会福祉協議会が主催しており、中学生以上を対象に介護施設などで3日以上のボランティア体験ができる)などに参加してみてください。
私は中学生の時に特養で窓ガラスを拭いたり、施設の夏祭りの出店を手伝うボランティア体験をしたことが大きかったと思います。介護福祉施設のお祭りは地域の方の参加ができるところも多いので、まずどんなところなのか見に来てください。