2017/10/23

5年間新人の離職者ゼロ。「話しやすい管理職」で500人以上の介護職員をまとめる

(福島県 郡山市)
一般社団法人 脳神経疾患研究所
介護老人保健施設ゴールドメディア 介護福祉士主任 介護部会会長
佐久間文彦さん

Q1 この仕事のどんなところが好きですか?

私が介護の仕事に従事して20年になります。利用者さんが笑顔になったり、リハビリをして在宅で生活できるようになることが嬉しい、それが原点ですね。
今は管理職として、利用者、職員、両方に目を配っています。管理職はデスクワークが多く、介護の仕事から外れる時間が長いですが、利用者さんに関わるのが好きなので、現場に呼ばれたときは嬉しいですよ。グループ内の他の施設職員から僕に直接相談の電話をもらうこともあります。そんな時は職員と所属長の橋渡しになれるように心がけています。職員一人一人に能力を発揮してほしいので、問題解決できたときにやりがいを感じますね。

 

Q2 仕事で心がけている。または大切にしていることはなんですか?

職員は利用者さんに対するノウハウを持っています。利用者さんからご意見もいただきやすい環境づくりを心掛けているので、問題が明確にされ、改善ができます。一方で、職員一人一人へのマネジメントはマニュアルがあるわけではありません。
どこの職場でも人間関係は離職につながる理由として大きいと思います。私は経験年数が違う職員を誘って少人数で食事しながら話しをする機会をつくります。上司と部下という壁をつくらず、フラットな関係を目指しています。新人が先輩から仕事を教わると、日によって言うことが違うと感じて戸惑うことがあるようですが。そこでつまずかないよう、私は職員たちに「自分が引いた一本の線で決めないで、応用力を持ってね」と話しているんです。
職員の体調だけではなく、メンタルへのフォローも大切にしています。この間、職員から「声をかけてもらってありがとうございます」って言われた時はうれしかったです(笑)。
「自分が必要とされていないのでは」と思うことのないように、人事異動は現場職員の意見を取り入れています。ゴールドメディアでは、この5年間で新人職員の離職はゼロなんです。先輩の姿が実績になって、同じ学校から入社してくれるのも嬉しいですね。
子育てしながら働き続けられる環境であるために、休みもきちんと取ってもらう。現場で人が足りない時間には、自分が入浴介助などに入っています。利用者さんに気軽に頼ってもらえるよう、名前を憶えてもらえるチャンスですから(笑)。

 

Q3 辛いことや挫けそうなこともあると思いますが?

新人の頃、担当している利用者さんの転倒を目の当たりにして、そこから立ち直るのに時間がかかってしまったことがあります。先輩や仲間たちが「いつまでも下を向いているんじゃないよ」と励ましてくれたおかげで、次のステップを踏めたのだと思います。
入社10年のときに同じグループの東京にある特別老人介護施設に異動したことも大きな経験でした。環境が変わったことで介護の仕事に新しい視点を持てたと思います。
もともと所属長になりたいと思う気持ちが薄くて、役職昇進を上司に推薦してもらえたにもかかわらず、一度断ってしまったことがありました。1年後、試験を受けて管理職になりましたが、そのときに、現場だけではなく、職員をマネジメントする目線も必要だと自覚しましたね。

 

Q4 介護部職人の500人を取りまとめているとお聞きしましたが、これからご自身の目標をお聞かせください。

介護部の所属長たちと毎月顔を合わせていますが、所属長クラスの人たちはみんな仲がいいので、自分たちが向き合って解決に取り組んでくれる仲間という感じですね。縦割りではなく、風通しがいい組織ですから、現場と一体になって問題解決のアクションをとることができるんです。
悩みを抱えている職員がいたら退職や離職の選択に向かわないように、解決の糸口を見つけたいと思っています。ときには、その人を生かせる配置換えをすることもありますが、異動先で花が咲く職員も多いです。キャリアへの情熱を秘めている若い職員も多い。飲み会で「部長のポジション狙いに行きます!」と言われると、自分がやってきたことが間違っていないんだと嬉しく思いますね。
介護部会長になってから、自分の部屋はいつもドアを開放しています。忙しいかもと遠慮させるのではなく、いつも話せる、連絡をすれば来てくれる上司でいたい。そして、将来も現場を見ながら、職員をまとめる仕事を続けたいんです。

Q5 最後にこれから介護業界を目指す「あなた」へ。一言ください。

今、介護の勉強をしている人なら、ぜひその道を歩んでほしいと思います。介護職員はいいところがたくさんあるし、すごくやりがいがある仕事ですから。一部では一般的に過酷だとか、給料が悪いという報道が先行していますが、介護業界は良い人材を確保するために努力を続けていて、先進的な取り組みをしていると思います。
介護業界のイメージに対して「本当なのか」と少しでも感じる人は、南東北グループでは学生向けのイベントや見学会をやっていますから、ぜひ見に来てほしい。みんな笑顔で働いていて、介護の仕事は楽しいとわかってもらえると思います。会場に来てくれた人の就職率も高いんですよ。
今は資格社会で、「資格がないとだめなのか」と失望させてしまいますが、大事なのはやる気です。南東北グループでは資格がなくても新卒を正社員で採用していて、実務経験を積みながら資格試験を受けることができます。介護の仕事をやってみたいという気持ちを大切にしたいと思っていますので、一緒に介護の現場で働きませんか。