2020/03/23

インターンシップを終えて ー 株式会社はなひろに捧げ尽くした30日間の結実 ー

私が立命館へ進学したのは、出来うる限り偏差値が高い学校へ行った方が良いというステレオタイプに囚われ、ベルトコンベアで運び込まれたに過ぎない。無論、受験勉強は一生懸命頑張ったが、大した意志なんぞ無かった。

入学以降はそれなりに単位を取得し、深夜便で東京に行っては遊び呆けた。下北にあるキャパ250人のライブハウスでエモーショナルに踊り狂ったり、渋谷で若手芸人のネタを見て笑い転げたり、高円寺の古着屋で散財したりして大学生活を楽しんでいた。

ある時、2017年の紅白で見て驚天動地のインパクトを喰らったエレファントカシマシのライブレポートを読んだ。すると、そのセンシュアルで威風堂々とした表現力や、バンドへの愛をガシガシ知覚する文字に、またも天と地がひっくり返るほどの衝撃が走った。それから音楽雑誌を読み耽って、いつしか私もと思う様になった。

音楽雑誌を編集する出版社は、インターンシップからの採用率が高いことを知り、rockin’onやTalking Rock!、MUSICAなど手当たり次第にエントリーシートを提出した。しかし、社会はそんな生温いシーンではなく、悉く駄目だった。

そんな中、株式会社はなひろだけ合格の通知が来た。それが凄く嬉しかった。「編集・ライティング」で釣られ、気休めでエントリーしただけだったが、必要とされたのがやけに嬉しかった。

ここ(株式会社はなひろ)に至ったのもやはり、明確な意志があった訳ではない。嫌になれば帰れば良いとも思っていた。だが、初のインターンだったということもあり、取り敢えず一生懸命考えた。それは、20年自分事に考えたことがなかった地域や共助、福祉、やりがいなどだった。

とりわけ、地域関係が希薄な環境で生まれ育ち、郷土愛さえこれと言ってない私にとって、塙社長(株式会社はなひろ 代表取締役、インターン先の社長)が地域で事業に取り組む理念や地域への愛はひどく理解し難く、インターン序盤には不躾なクエスチョンを多分に投げ掛けただろう。しかし、塙社長は懇切丁寧かつオープンマインドに真正面から向き合ってくれた。それが非常に嬉しかったし、それだけに、理解できないのを「価値観の不一致」では済ませたくなかった。だから、無我夢中で考え、文字で形にした。賀庄(デイサービスセンターポエム 郡山 賀庄)でのデイサービス体験後も居宅訪問同行後も一心不乱に字を書いた。

すると、それを読んでくれた水野さん(デイサービスセンター ポエム 郡山 賀庄 スタッフ)が泣いて喜んでくれた。加え、矢内さん(デイサービスセンター ポエム 郡山 荒井 ケアマネージャー)や豊嶋さん(賀庄 管理者)、吉田さん(荒井 ケアマネージャー)も大いに喜んでくれた。それが何より嬉しかったし、ライターとしての掛け替えのないやりがいを実感した。また、ライターは読者がいて漸く成立するし、伝えたいメッセージがちゃんと届くことを身を持って学んだ。

そして、次はその人たちをモチベーションに、必死になり頑張った。さらに、加藤さん(ライターの師匠)や渡辺さん(なべちゃんデイサービス 店主)、菅井さん(リハビリ専門デイサービス ポエム 開成 PT)など、そのスパイラルに多くの人を巻き込み、輪を拡大させ、ここまで来られたと思う。

コラムでは、福祉とは畑違いで、二十歳の私が考えたことを、そのメッセージが大勢に説得力を持って届き、響くよう、社会性のある文章を書くことを意識した。それは、己の感覚や目を信じ、相対化する作業に近く、頭の中にイメージすることを言語化するのは楽しかった。また、それを具現化することに非常に意味を感じ、形にすることで新たな価値観を数多く見出せて、自身の成長を確信した。

正直に言えば、私は福祉に対してネガティブなイメージすら持っていなかった。それは、他人事に思っていたし、興味もくそもなかったからだ。

だからいま、私にとってデイサービスと言えば、ポエムでありシンシアリィであり、なべちゃんデイサービスなのだ。

さらには、介護職の3Kと言えば、きつい・汚い・危険ではなく、感謝・関心・感動である。

一ヶ月無我夢中だった。紛れもなく無我夢中だった。何より、一生懸命やって良かったといま思えるのが凄く嬉しい。もっと言えば、一生懸命やっていると胸張って言えるのが非常に嬉しい。誰より一生懸命頑張った自信があるし、いま記事を書くことが凄く楽しく、寝る間も惜しんで文章を作成することができている。塙社長には言葉に出来ないほど感謝しているし、尊敬している。塙社長の存在と言葉に支えられ、ここまで到達できたと思っている。いまエレファントカシマシの「四月の風」が説得力を持って響くのは、無我夢中で頑張って生きる男の歌だからであろう。自分の人生の中で塙社長に出会えて良かった。出会えて、共に仕事ができて、いま涙が出るほど嬉しいんだ。本当に恩義を感じているし、音楽ライターになって恩返ししたい。

一ヶ月本当にお世話になりました。今までありがとうございました。

作 : 「福ひろば」インターンシップ1期生

立命館大学2回 石上温大