新型コロナウイルスによる感染拡大の不安の中。現場のスタッフは日常を保つために必死に仕事をしています。家庭を思い、利用者さんを思い、仲間を思い。迫りくる感染拡大のニュースを耳にしながらも不安を押し殺しながら利用者さんとご家族、そして仲間の前で笑顔を見せながら奮闘しています。新型コロナウイルスは未知のウイルスであり、とりわけ高齢者や基礎疾患を持つ人が重篤な状態になり易いということで介護現場では感染予防について厚生労働省の通達を逐一確認ながら感染拡大防止対策に取り組んでおります。もちろん普段の生活にまで注意しながらです。
未知であるがゆえに恐怖があります。漠然とした不安や恐怖のなか行動を制限しながら生活することはかなりのストレスです。一般の方でも相当なストレスです。認知症の人も介護者や周りの人の気持ちを感じ取り不安が増えることも予想されます。だからこそ、介護施設はギリギリまで営業を続ける努力をしなければなりません。現に陽性反応が出た女性の子供さんが通う保育園にデイサービスを利用している方のお孫さんが一緒に通っているので利用をして良いものかどうか?緊急事態宣言後に公共交通機関を利用して愛知県に出かけてきたが利用はできるのか?同居している医療機関に務める娘さんが発熱したので利用できるか?など逐一検討し判断を迫られました。認知症初期の方が多く利用している私共のデイサービスは、長期のお休みをしていただくという判断をした場合、個人のQOLの低下というリスクも伴います。しかしながら、全体を守るということも重要な判断になります。そのためにお休みしていただく判断をする必要性もあります。非常に頭が痛い思いです。軽症・無症状の人が周りにいても気づかないということもこのウイルスの厄介なところであります。そのため市中感染は拡がります。「予防のためのマスクや除菌対策」でもありますが、「大切な人にうつさないためのマスクや除菌」という意識変革も必要だと感じました。気づかないうちに感染して通常の生活を送っている人もいるでしょう。それは我々も同じです。症状が出ないということは病院にも行きませんし検査もしませんから。
今回の新型コロナウイルスに奪われたものも多いですが、得たものも多くあります。ただただ恐れるのではなく、「正しく恐れる」ということです。様々な情報が飛び交うこの社会においてどんな情報を取捨選択するか。安倍首相も話していました。フェイクニュースやデマに気をつけなければなりません。偏った情報、視聴者受けする内容の報道。果たして正しい情報はどれか。厚生労働省ではインターネットでデータを公表しています。新聞やテレビも一社ではなく数社の新聞を読むなどバランスよく情報を収集することが大切だと感じます。我々の判断基準も厚生労働省からの通達を軸に対策をして、判断の基準としています。それは結果として、利用者さんや家族の生活そしてスタッフを守ることになります。
認知症の方が多く通う施設ゆえに、マスクの着用が弊害でもあります。表情が伝わりにくいということです。なぜなら、常に利用者さんは不安の中過ごしております。そこでスタッフの笑顔が錨となります。「私はここにいていいんだ」という安心感を与えることができるからです。スタッフの最高の笑顔が最強の武器です。ドクター中松さんの開発したマスクが来年は大活躍するかもしれませんね。1日でも早く事態が収束し毎年必ずやってくる大歓迎の「満開の桜」のような笑顔が咲き誇ることを願っています。
株式会社はなひろ 代表取締役 塙 啓之