2020/04/09

利用者さんもスタッフも笑って支え合える、豊かな仕事

株式会社はなひろ
デイサービスセンターポエム 郡山賀庄
管理者/生活相談員/介護福祉士/認知症介護リーダー研修受講
豊嶋久美子さん

「笑うことが大好きなんです。自分が笑うことも、人に笑ってもらうことも」
そう話してくれたのは、デイサービスセンターポエム 郡山賀庄の豊嶋久美子さん。
お二人のお子さんを育てながら、管理者として明るくパワフルに日々の仕事をこなしています。
常に笑顔を大切にしているという豊嶋さんに、仕事のこと、働きながらの子育てのこと
これから介護業界を目指す人に伝えたいこと、を伺いました。

 

Q1 この仕事に就いたきっかけは?

スポーツが好きで、体育の先生になりたかったんです。
でも、高校の先生に止められて(笑)。
ほかに何かあるかなって考えたときに思い浮かんだのが、福祉系の仕事でした。

小さい頃、母方のおばあちゃんが大好きで。
会うといつも優しい気持ちになれたのを覚えていて福祉系の仕事もいいなって思い、
仙台の専門学校に進学しました。
ただ、卒業後は故郷に戻って、親の勧めもあって、近くの町の病院で看護助手の仕事に就きました。
同僚に看護専門学校に通って看護師を目指している人がいて
看護師もいいのかなぁて考えたこともありました(笑)。

介護職を志す大きな転機は数年後、病院にグループホームが併設されたことだと思います。
少人数で生活するグループホームで看護助手時代には難しかった
一人ひとりの利用者さんに合わせた支援をすることができ
そのことが想像以上に楽しいって気づいて介護の仕事がしたいと思うようになりました。

結婚を機に郡山に移りましたが、結婚後もぜったい福祉の仕事に携わりたくて。
ちょうど同じタイミングでデイサービスセンターポエムを立ち上げられた
塙啓之社長に声をかけていただき、郡山でも介護の仕事に携わることができました。

Q2 管理者の仕事をされています。
これまで一番苦労されたことは?

やはり人間関係ですかね(笑)。
現場の経験はありましたが、当時、2番目に年下の私が管理者になることになって、
戸惑うことばかりでした。
正直はじめは、スタッフさんに心を開けていなかったし。
介護に対する考え方にも温度差もあるのかなって感じていました。

管理者の仕事は
ケアの現場に出ることと、施設運営のための事務を行うことです。
利用者さんと関わりたいという思いと施設を回していく仕事をしなければという思いを同時に抱えて
どうしようどうしようってなっていました。
スタッフさんから、もっと現場に出てほしいと言われると
自分の仕事は理解してもらえていないんだと受け取ったり。
社長にも、自分には無理ではと、何度も相談しました(笑)。

でも、あるとき気がついたんです。
みんなばらばらなことを言っているようでじつは同じ、「利用者さんを第一に」を思っていることに。
方法は違うけど、目的は同じ。
それならば、自分たちの思いを包み隠さず正直に話して、ぶつけ合って
そこから問題を解決していこうと考えたんです。
それでも最初はいろいろありましたが(笑)
少しずつ職場がうまくいくようになったと思います。

 

Q3 二人のお子さんを育てながら
仕事を続けられている理由はなんでしょう?

職場のスタッフさんやサポートがあるからだと思います。感謝ですね。

子どもが小さいうちは熱が出やすくほかのスタッフさんも
いっぱいいっぱいの状態で仕事をしているなか自分だけ早く帰るのは本当に心苦しかったです。
特にインフルエンザなどで長い期間休むときは
みんなに迷惑をかけるから辞めたほうがいいのかな、って何度も思いました。

でもスタッフさんは「子どもが熱を出すのは当たり前、気にすることはない」と
何度も声をかけてくれたり
子育てを経験のあるスタッフさんがいろいろとアドバイスをしてくれて。

家族の支えも大きかったです。
主人の会社が子育てに理解のあるところで、病児保育に預けられず
自分のスケジュール変更もきかないときには主人が休んでくれたりして
二人で支え合いました。

友人も支えてくれました。
病時保育があるよって教えてくれて、利用してみたりしました。

それでも心苦しく思うときがあって、社長にも相談しました。
そうしたら前の職場ではどう対応したのって聞かれ
「休んでもらい、残った自分たちでシフト調整をしました」と答えると
「じゃあ、今度は自分がそうさせてもらったら。
みんなも状況を理解しているし、深く考えることはないよ」って
言ってくださって。その言葉で、心が軽くなりました。

いまは、同じような待遇の職員さんに対して
私もみんなと一緒に、「大丈夫だよ、すぐに帰って!」
って、背中を押しています(笑)

Q4 これから介護業界を目指す方へメッセージを

介護は大変というイメージをもっているなら、それだけでなくて
すごく楽しいこともあるってことを伝えたいです。
人と人との深いつながりというか、支え合いというか
そういう関係のなかで働けるってすごく大切で豊かなことだと思います。

郡山賀庄では、認知症の利用者さんが多く
自分の思いを言葉でうまく伝えられない方が少なくないんです。
でも、深くつきあうことで言葉にならなくても、
表情とかでちょっとした小さな変化で気づくことができるようになり
利用者さんの本当の気持ちに自分たちは触れることができたって実感できる瞬間があります。

ご家族から「何もできないんです」と言われていた利用者さんでも
毎日接するなかで、じつはちゃんと話せたり、細かい作業ができたり
できることがたくさんあるってことに気づけたときは、ほんとに嬉しくて
利用者さんたちと「できる」とわかったことを一緒に楽しんだりします。
そのときの様子をご家族に伝えて、ご家族も喜んでくれて
感謝の言葉をいただけると、よし、またがんばろう、って(笑)

利用者さんの状態は毎日に違います。
それはもちろん大変なんですけど、違うことも楽しみって考えられると
視野も広がると思います。

何が向いているかはやってみないとわからないかもしれませんね。
私はある意味で、縁やタイミング、周りの環境に恵まれてきたのかもしれません。
ただ、これまでを振り返ってみると、いい仕事を選んだなって感じます(笑)
本当にいまの仕事が楽しくって。

(文:加藤泰朗)